クロスファンクション

日産のクロス・ファンクション・チーム。

 

ゴーン社長が日産に就任した時、危機的な会社経営を再建するため、優秀な社員をゴーン社長自らが選んだ。

組織にとらわれることなく社長直轄のプロジェクトを進めるチームであって、

自分の担当業務だけに埋没することなく、

「顧客の要望にこたえる」「会社が収益をだす」の点に絞ってチームは組織された。

 

結果としてリバイバルプランを成就させ、日産をV字回復させたカリスマ経営者として、ゴーン社長の名声は世に広まった。


短期的には有効な方法だろう。

その担当分野の仕事を続けてきた部署としては、新入り社長への抵抗心はあるに違いない。

日産のクロス・ファンクション・チームには、各部門の部長クラスが参加しているから、

各部門員の抵抗があろうとも、部門長がやれと言えば部員は従うしかない。

 

 

 

 

つまり、クロス・ファンクション・チームメンバーは、ゴーン社長の代わりとして

各部門にゴーン社長の意思を伝達し、強制する役割を果たしていたのだ。

クロス・ファンクション・チームに選ばれるとは、どういうこと?

社長に認められた優秀な社員なんだよ、

出世頭として次期役員候補になれるっていう、サラリーマンの憧れ。


クロス・ファンクション・チームメンバーは頑張るだろうな。

目の前に出世の近道というニンジンをぶら下げられた馬だから、

全力で走ってゴーン社長のメッセージを部門に知らしめるだろうな。

 

この日産のクロス・ファンクション・チーム方式は万能ではない。

企業には組織が必要で、それが作用していないことこそは逆に異常だから。

短期的なトップダウンのプロジェクトなら成功するが、

長期的には部署に役割を持ってもらうボトムアップの方が企業としては正常だろう。

 

このことはトヨタも同じだ。

2009年、トヨタは社内に「トヨタの明日を考える会」を発足させた。

豊田新社長の直轄組織、部長級の優秀な社員を集めた、部格の組織。

100年に1度の世界同時不況を受け、

新社長に就任する豊田章男氏への権限集中もふまえトヨタの短期的な業績回復を見越した組織だろう。

ただ、日産と名前が違って泥臭いところにトヨタの真髄を見る。


日産の、クロス・ファンクション・チーム。

トヨタの、トヨタの明日を考える会。

 

う〜ん、この言葉使いに両社の企業文化の違いが集約しているようで実に面白い。

役割は、目的な同じでも、名前が両極端で面白いよ。

 





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