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知床の秋アジ、ヒグマ・ソーセージ射殺〜小説「再生の森に生きて」
2007/7/29
――ケンが戻ってきた! そんな嬉しいニュースがケータイに飛び込んできた。 ウトロ動植物保護事務所の瞳さんから 「あのね、実はケンが2ヶ月前から戻ってきているの」とメールが入っていたの。 東京のオフィス ...
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小説「那須与一の弓矢」屋島の戦いの女の扇的、戦場の美
2006/8/5
「そんな下品なことができるか。戦場にこそ、美が必要だ」 いくら源氏の御大将・義経の命令であろうとも、今の与一には耳に入らない。 この一矢で義経殿の目を覚ましてみせる。その意識に与一は燃えていた。 世の ...
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不倫でしかできない男女の性愛〜小説「スローラブで愛して」
2006/7/8
「生き急いじゃうからね。不倫でしかできないよ。――スローラブ。永遠に終わらない恋をしよう」 最初は慶の言う意味が分からなかった。 不倫の性愛にそんな清らかなものを求めようとする男の幼い神経。 「――ス ...
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小説「カムイの川に月が昇る」ウサギの月、知床のカラフトマス
2005/6/4
――今は昔、みんな消えてしまえばいい。 良人は過去を否定するために旅に出た。 昔のことなんて忘れてしまいたい。なにもかも、記憶から消してしまいたい。 なるべく人のいないところがいい。思い切り車を飛ばし ...
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小説「代理愛人」狂気の性愛、恋愛のフルコースを求めて
2005/4/1
――掲示板にそう書き込みしたら、たくさん返事が来た。 最初に会ったのは、やりたいだけの男。 「昔付き合っていたさやかってコが忘れられないかな~。 やっぱり失恋を忘れさせてくれるのは、新しい出会いだよ。 ...
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小説「あなたにありがとう」美化されていく若い頃の恋愛記憶
2005/2/26
彼女が僕を残してカナダに旅立った時のことは覚えている。 最後に見たのは空港でコートを抱えている姿だった。 まだ東京では見かけないコートも、向こうではもう必要とされている季節だったのだろう。 どうしてさ ...
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小説「後悔の海に溺れて」離島の空港建設計画、生態系破壊
2004/11/29
島を台風が通過していった夜、 息子と遊びに来ていた友達のせいで家は随分賑やかだった。 さっきまで散々騒いでいたと思ったら、今度は隣の部屋で電気を消して何やら怖い話を始めている。 怖い話といいながら笑い ...
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小説「汗と無力感」十代の青年の我武者羅な冒険旅行
2004/9/1
僕の十代は無力感と汗の匂いのうちに過ぎ去った。 恋でも上手くいっていればまた違ったのだろう。 好きな娘はいたが、僕には恋を叶えるための具体的な知識が全くなく、 何よりもその度胸が欠落していた。 恋はい ...