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【総論】ローカル化 < グローバル化、未来の車に大差はつかない

投稿日:2018年9月1日 更新日:




「未来の車を考えてくる、過去をさかのぼることで、現代と未来の車を知るのさ」

そう言って行き先も期間も告げずにフラリと出かけて行ったトラさん。

まるで昔の人情喜劇みたいだけど、ここは未来の自動車を連想していくマジメな場。


最近はSNSが便利だから、トラさんが頻繁にアップするインスタグラムを見ればどこにいるか分かる。

隠したいのか目立ちたいのか分からないよ、追尾は簡単。

今回はアメリカ・ミシガン州のデトロイトへの旅みたい。

「ヘンリーフォード博物館、物量圧倒時代の華」というキャプションに、
ありし日のビッグ3を懐古しては解説するトラさんを思い返していた。

ローカル化<グローバル化、未来の車


よくこう言っていたわね。

「あの当時、アメリカさんの車作りの強さの根は、圧倒的物量・労働力だったわけさ。
その土俵に戦後のヨーロッパ車・日本車が台頭できたのは、 物量がないが故に知恵を使ったことにある。

ヨーロッパではセンスを用いて車を美しく強くし、 日本では知恵を絞って製造コストの低減や品質向上を磨いた。
そこに優位性を見出すしかなかった」

私もところどころで質問を入れて、トラさんの本意を伺ってみる。

「さすがは未来の車の探求者ね。それで、その物量の違いって、どのぐらいだったの?」

「うん十倍。
色々なモノサシがあるのでひとつに数値化すると角が立つけど、
確実なのは数倍どころじゃなくて、うん十倍だってこと。

戦国時代の白兵戦では、兵力差が1.5倍もあったら勝敗は明白だったんだよ。
プロ同士なら2人が3人に勝てるわけない。
無勢で多勢に打ち勝つ幻想を見過ぎだったのが昔の日本人」

「それは当時の自動車勝負でもそうだったの?日本人も勝とうとしたの?」

「いいや、第2次世界大戦で負けた直後だから、 さすがに知恵だけで物量差に勝てるとは思っていなかったはず。
そこから地味に知恵を築き上げていって、 歳月をかけて日本ビッグ3の自動車メーカーの今がある」

「じゃぁ、現代ではその物量差にかわるものは何なの?何がトップを走らせているの?」

「良い質問だな、未来。 それはね、グローバル化によって無力化された物量差ってことなんだよ」

トラさんはそう言って、机上のお茶のみに手を出した。
台湾産の高山茶がお好みの彼。

「えっ?また物量差?何それ、違いがないじゃない」
「違いがあるんだな。
戦前のアメリカは、物量のみならず文化や経済でも世界のトップを独走していた。
2位以下とは格段の差があった。
それが現代では、グローバル化によって世界各地間の情報量の差がなくなり、
互いの文化が浸透し合い、極めつけはインターネットの普及によって どこにいても情報共有されるようになった。

アメリカが利便を認めて張り巡らせたインターネットが、 皮肉にもアメリカ自身の独走を阻止した。
世界の標準が底上げされたんだ、 だからもう独走時代ではなく、どの国もアメリカに追いついた」

ローカル化<グローバル化、未来の車


なるほどね、そう言われれば分からないわけでもない、トラさんの発想は。

「それでも各国独自の文化って残るでしょう? それが未来の車の強さを左右することにはならないの?」

私も知りたかったから踏み込んで聞いてみた。

「あー、いいね、未来。大なり中なり各国のローカル化は個性を残すけど、
未来の車の出来を左右するほどの大きな差になり得ない。

それほどに、現代の自動車メーカー間ではベンチマークが徹底している。

これらは総論だけどね、総論。
一歩踏み込めばこんな部分ではそんなことはない、っていう各論があるのも承知」

決まってトラさんは総論と各論を明確にした。
両者をごちゃまぜにして、ぼやっとした結論に導くのを善しとしない人だった。

今回のデトロイト訪問ではどんなアイディアを得て帰ってくるのかな。
そして、それが未来の車談義にどう活かされるか、興味を引かれていた。

純粋に、未来の車に興味がある。
単純に、自動車の設計に未来を見ていたいんだ、彼は。

こうしてブログに「未来の車 トラじろう」を書き残すのも、 彼の特有な空想に一条の光があると信じているから。

この雑文を読んでくださるあなたに、ミクロレベルでもいいから、 ナナメ横の角度からのヒントを与えてあげたいから。

「グローバル化が進み、物量差がつきにくくなると、 違う価値観・能力が未来の車を先駆するようになる。

僕の感性で言わせてもらうと、
①ヨーロッパ勢におけるセンス ②アジア勢における勤勉さ だ。

我がままな決め付けだけど、意見ははっきりと述べないとね」
「おおまかなイメージは分かるよ。総論では誰も否定できないじゃない」

ローカル化<グローバル化、未来の車


「ありがとう、未来。もう1つ、不明なのは中国・インドという国のこと。
あそこは、アメリカ級の物量差とアジアの勤勉さを両翼として、
まさかのビッグバンを起こすかもしれない。 素敵な意味で不気味な存在・・・」

「人件費の安さもあるし?」

「今はそうだね。
まぁ、グローバル化の進捗次第でいつかは中国・インドだって 人件費の底上げがされるだろうから、あまりそれは考慮に入れていない。

いずれにしても両国の進化はこれまでの先進国への脅威だよ。
台風の目、番狂わせ。

まぁ、いくら中国・インドだろうと、 世界中の富はもう独占できないグローバル化真っ只中だけど」

トラさんの言った「世界の富はもう独占できない」が心に残った。
中世のヨーロッパ、近代のアメリカ、 オイルマネーで潤った中東だってシェールガス・脱原油という難敵が出たし、
人件費で世界の工場と呼ばれた中国も、永続できないのは目に見えている。


そんなことを妄想していたら、トラさんの帰国してくる日が近くなった。
フーテンを気取る彼でも、今では航空会社の予約番号さえあればフライトスケジュールを覗くなんて朝飯前。

未来の車と同じね、未来の車トラじろうは、もう不透明な旅人じゃいられないってこと。

デトロイトから帰ってきたトラさんは 「どうだ突然帰ってきて驚いただろう?」という表情を見せたけど、
「良かった、デルタ275便はオンタイムで到着したでしょ、
雷雨の影響でディレイしないか心配したわ」 という私の先制攻撃に撃沈していた。

それでも殊勲な心がけで 「過去から現代の動きが整理された、今が未来の車の再スタートだ!」 と力強く総括した彼。

お土産のメープルシロップ(カナダの国境も越えたの?!)を渡してくれながら、 あれこれと語ってくれた。

細部は全然分からなかったけど、推測すると、こんな感じだろうか。

・ローカル化 < グローバル化 なので、太古のように大差はつかない
・規模がモノを言いそうだが、昔のようにそれが決定打にはならない
・次にどんな新種類の未来の車アイディアを打ち出し、実現化するかが勝負

自動車誕生から250年が経とうとする今、 第2のスタートラインが各社の目前に引かれ直されたってことね。

ファッションショーのように濃いセンスで群衆をひっぱるのではなく、
実現できそうな3年先の車を出し合って、 様子を見ながら進めていく未来の車、
そこに大きな楽しみはなく、英雄もヒロインもいない。

地味な競争あるのみだ。
自動運転技術やオンラインでつながる車が話題になる都市部がある一方、
陸地面積の大半を占めるのは車を日常の足として多用することに変わりがない田舎。

それらの多数を、経済規模の大半を握って主導する未来の車はどう誕生していくの?
着実な踏み込みで加速していく未来の車を見たい、 だからここに空想物語を連ねていくわ。







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