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未来の車のデザインは大衆の鈍角「楕円形」一択で。

投稿日:2018年10月20日 更新日:




あれはトラさんと草団子の形について口喧嘩していた時。

”真ん丸にしちゃぁダメだ、客が遠のく”と何度も繰り返すトラさんは、
話を脱線させて”未来の車ならデザインはパンプキンのごとき楕円形にしろ”と息巻く。

「なんで未来の車と草団子を一緒にするのよ」と私は一蹴する、 ついでに足を組み替える。

すると肌の色に一瞬目移りしたのかトラさんは、 ちょっとトーンを弱めて言葉をつなげる。

”パンプキンは鈍くさいが、愛嬌・親しみ・温かみがある。
肩でも組んで一緒に盛り上がりたい気分になるだろう?”

未来の車のデザイン


「つまり自分と対等か下が良いってことね、身分階級闘争かしら」

イヤな感じたっぷりにそう突き放す私に、トラさんは唾をぺっぺ、と飛ばしながら言う。

”未来の車の見かけは楕円に! 例示するなら、大福・ふぐ・提灯あたり。
間違っても、真ん丸や縦長の丸にしてはいけない!”

私には分かっていた。
トラさんのその古くさい考え方、あなたは旧車にそそられるタイプだわ。

「ハイセンスを欠如させた、平々凡々としたスタイルに未来の車のデザインは宿る」

できるだけロートーン、かつ朴訥な音調で私はそう呟いて、
新東名高速道路沿いにオープンしたコストコ岡崎を眺めた。

トラさんはサングラスに目の感情を隠しながら、私のいる助手席を向くと短く一言。

”それは何故だね、キミ?”

だから私は速攻で答えてあげたの、今後はハイトーンで可愛らしく。

「尖ったデザインは人を遠ざける、だって、手が届かないセンスがそこにあるから」

私の毒舌に、きっとトラさんは心を飛ばしていた。

そのままハンドルは握っていたけど、タイヤは道路上ではなく、
土埃が立つ岡崎市の古道・道根往還を滑っていたのでしょう。

未来の車のデザイン


”ねぇ、ハイブリッドとか難しい仕組みは理解できないんだ。

それだったらまだ電気自動車のほうが身近だな”

漂うような口調に変わって、スピードをやや落とし、トラさんは奇説を再開させた。

”どぉせおいらは、ありきたりのもの、普通のものに囲まれていないと落ち着けない。
突出、傑物、抜群、そんなのはおいらの半径1メートルには不要!”

あら?わたしはいつもトラさんの肌そばにいるのにどういうこと?
そう言いかけて口を噤んだ。

”大衆の10%が期待値を上げて待ちわびる鋭角ではなく、
大衆の90%が毎日に必要とする鈍角の方が、 未来の車のデザインに相応しいのでは?”

変な議論はそれっきり。

草団子は平べったいほうが客が手を伸ばしやすくなる。
未来の車を人口全体にまんべんなく行き渡らすのなら、楕円形のほうが浸透が早い。

まとめるとそういうこと、ねぇ、トラさん?







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