鞍馬寺の創建は770年、奈良時代だな。
京都にあるとは言え山奥、山伏たちによる密教が盛んだった場所。
鞍馬寺駅すぐの大きな天狗のお面に、鞍馬寺らしさを感じてワクワクしていた。
こういう分かりやすいシンボルは良いね。
牛若丸(源義経)が天狗に鍛えられたお寺と聞いていたから、鞍馬寺にはいつか行きたいと思っていた。
ケーブルカーに乗って山中まで上がると、木々深い場所にワープする。
観光地とは思えぬ深い山、山岳信仰というものの舞台だ。
鞍馬天狗に逢えるかな、牛若丸・義経の八艘飛びの技が習得できる場所になるかな。
平家との争いに敗れた源義朝の9男として、鞍馬寺に預けられた少年・牛若丸。
もう800年も前のことだが、7才から10年間も、この鞍馬寺一帯の硬い地質で鍛え、驚異のジャンプ力を得て、平家との戦いに挑む、という物語。
そういう伝説を人々に信じさせる不思議な力が、鞍馬寺にはある。
なかなか続く階段を登り切ると、ようやく鞍馬寺の主役にお逢いできた。
毘沙門天、鞍馬寺といえば毘沙門天。
四天王のうち、北方を守護する毘沙門天、確かに鞍馬寺は皇居からみて北方にある。
ここは毘沙門天が多く奉納されたお寺、勇ましい鎌倉武士好みの場所だろうよ。
本尊の毘沙門天は遠すぎて全く見れなかったけど、
なかなか規模の大きな鞍馬寺だから、その格の高さは感じていた。
目立った主役のいないお寺だ、という気持ちに包まれがち。
毘沙門天が遠過ぎる、鞍馬天狗を祀っているわけでもないし。
まぁ修行僧たちの場所だ、観光客目線で楽しいのが正解でもない。
宝物館まで歩き、16時の閉館間際に入っていくと、だいぶ驚かされた。
素晴らしい仏像たち、それも様々な形別の毘沙門天が幾体も迎えてくれた。
つまり、毘沙門天コレクションが豊富だということ。
ひとつに特化した場所は良いね、ひとつぐらいしか誰も極められない。
なんと美しいことか、国宝の毘沙門天だけじゃなく、他にも幾体もの毘沙門天。
上杉謙信公がみたら涙を流して喜びそうな、と妄想を始めた僕。
帰りは山道を下って、途中の山門を見ながら下山してみる。
ケーブルカーは便利だが、まぁ自分の足で歩いてみて感じることもある。
ここは天狗と毘沙門天の(専門の)お寺。
明確な区別が出来ている鞍馬寺は、個性が立っていて、面白い存在だと思った。
鎌倉武士の修行の場、牛若丸の伝説からそんな連想をしながら、鞍馬寺を後にした。
山を越えて貴船神社まで行ってみたかったが、それはまたいつかの楽しみということで。