その昔、僕が箱根の美を発見したきっかけは、ここガラスの森美術館だった。
ここから見る大涌谷方面の山の景色が美しく、最初に来た時期が春だったから緑が瑞々しかった。
あれから10年が経ち、久しぶりに訪れるガラスの森美術館になんだか緊張を隠せない。
僕は成長したかなぁ、もうガラスの森美術館の美しさに圧倒されず、平静でいられるか。
館外に、キラキラと輝くガラスの木が。
そして、木にかかっているかのようなガラスの風船が。
お洒落な企画に、心を躍らせて館内へ。
館内入ってすぐの景色はここ10年基本的に変わっていなかった。
整理されたお庭に、ヨーロッパ風のハイセンスなオブジェ、大涌谷の煙を遠くに、山並みまでの緑。
新しい企画があった、秋の仙石原をイメージして、自然のすすきの隣に、ガラスのすすきが。
何しろガラスだから、陽光を浴びてキラキラと反射するシーンが、美を創り出していた。
美術館に収められている作品自体に興味は薄く、僕は庭を散歩して、美の写真を撮り続けた。
カボチャも水車も、イタリアンレストランから聞こえるカンツォーネの音楽も心地よい。
ここほど整備された公園もないだろうなぁ、京都の整った日本庭園クラスに美しい。
10年前の僕を箱根の虜にさせたガラスの森美術館、いやいや、今も健在です。
一眼レフで写真を撮ってあげてよかった、ようやく恩返しができた心地になりました。
大涌谷温泉の写真
秋晴れの午後、箱根の大涌谷まで車を走らせれば、手前1kmから渋滞だった。
箱根のメインスポットだもんね、それは大涌谷を訪れずにはいられません。
駐車場を降りると、硫黄の匂いと、外国人の多さに気が付いた。
中国・韓国からの旅行者が多いと知り、よく箱根に来ていた8年ぐらい前からの変化に気付く。
道を上がっていくと、ほらきた、硫黄の匂いが強く、そして立ち上がる蒸気。
切り立った山中に白濁の池や、おどろおどろしい岩、大涌谷は地獄谷のごとく。
みんなは噴煙よりも大涌谷名物の黒タマゴに夢中、黒タマゴにかぶりつき。
花より団子は世界に共通するようで、外国人の方も大涌谷の黒タマゴ体験をしていた。
これだけ蒸気が出ているのを見れば、ここ箱根の大涌谷近辺が温泉地帯ってことが納得。
ガラスの森美術館よりも、仙石原よりも人気な大涌谷。
箱根を代表する光景、大涌谷の間欠泉。異世界に来た感覚が楽しかった。
仙石原の秋ススキ写真
10月中旬、秋真っ盛りの休日、箱根は仙石原のススキを見物。
さすがに凄い人だから、遠い駐車場からはるばる歩いて向かう。
仙石原付近は何もない原っぱ、ススキが海原のように続いているのは圧巻だよ。
ススキをどう撮れば美しいのだろうか、僕は色々な角度からトライしてみる。
逆光と順光、どっちがいいの?
風にたなびくススキか、動きのないススキか。
僕と同じように、多くのカメラマンがあれでもない、これでもない、と一眼レフを構えていた。
それだけ仙石原はユニークというか、秋を代表しちゃうような舞台だからね。
箱根といえば大涌谷やガラスの森美術館もあるけど、仙石原のイメージは強い。
先へ先へと続いている箱根・仙石原、どこまでいってもススキなのだろうか。
風にススキの穂が揺れる、夕方近くの太陽が重なる場面が美しいと思った。
箱根に秋到来を告げるのは、ここ仙石原のススキで間違いない。