コストコ・ジャパンが戦略的に進めてきた、コストコ木更津のオープン。
関東地方の人口の多い都市部の包囲網の完成、最強のコストコ・リングなのだ。
まぁ、まずは何も言わずに下の地図とコストコ倉庫店の出店場所を俯瞰すると良い。
首都圏の外枠を、コストコがぐるりと包囲しているのが分かることだろう。
一定のスペースを空けつつ、抜け穴がないような環状線が敷かれてある。
2000年12月にコストコ幕張店がオープンして以来、
このコストコ・リングを完成させるために努力してこられたコストコ・ジャパン。
地方と比べればだが、どの地域も押し並べて人口が多いこの一帯を、
余すことなく網羅させているかのようなコストコだが、注目して欲しい箇所がある。
神奈川県川崎市と、千葉県木更津市を海上でつなぐアクアラインだ。
川崎市の人口 | 147万人 |
木更津市の人口 | 13万人 |
人口数が物語ってくれるが、千葉県も房総半島まで行くと地方の田舎とそう変わらなくなる。
市原市・茂原市より南の房総半島全体で、80-90万人程度になるだろう。
一方で、神奈川県の人口、とりわけ川崎市と横浜市にまたぐ一帯の人口数は半端ではない。
神奈川県(県全体人口) | 905万人 |
うち、横浜市(市単独人口) | 372万人 |
千葉県(県全体人口) | 627万人 |
何が言いたいかって、「コストコ木更津は千葉県の人たちをメインターゲットとしてサービスします」とは限らないと言うこと。
分かりやすく言えば「川崎・横浜商圏の飛び地としてのコストコ木更津」だ。
川崎市内に1店舗、横浜の金沢に1店舗、西の座間市に1店舗がある神奈川県のコストコ事情だが、人口数を考えればまだ足らない。
ところが神奈川県内コストコを増築しようとも、適切な場所が見当たらない。
東名高速道路沿いにオープンさせたいところだが、首都圏の交通幹線、週末に発生する地獄の渋滞を考えれば、もうどうしようもない。
横浜・川崎一帯にコストコ新店舗を作れない、作れないなら代案場所を探すしかない。
それが神奈川県内に見つからず、アクアラインと言う海上線に目をつけ、まさかの海向こうの木更津が候補地になったのだ。
同じコンセプトで、「三井アウトレットパーク木更津」が2012年にオープンしている。
東京湾アクアラインを渡り切ってすぐ、木更津金田インターチェンジ出口近くだ。
羽田空港から30分で行けて、店舗数日本一の巨大アウトレットとして活躍中のMOP木更津金田。
商圏に近く、かつ広大な土地を求めると、神奈川県内では叶えられず、東京湾を渡って房総半島・木更津に向かうしかなくなる。
MOP木更津金田の商圏は、車で120分以内の筑波市・大宮市・小田原市まで想定していると言う事実が、
コストコ木更津=横浜・川崎向けであることを物語っているね。
ただし、コストコ木更津・三井アウトレットパーク木更津の命綱が、
東京湾アクアラインと言う細い海上線であることが、唯一にして最大のリスクだ。
平常時は問題ないが、天候があれたら通行ができなくなる。
週末のアクアライン渋滞が慢性化したら、横浜川崎から木更津へと向かう意欲が下がる。
東京湾アクアラインまかせにもできない、MOP/コストコは、アクアラインの通行分散のために努力することだろう。
三井アウトレットパーク木更津の巨大なフードコート内に、アクアラインの混雑状況の案内があるのは知っているが、
同じようなことをコストコ木更津もするのではないか。
逆に言えば、アクアラインさえうまく流れれば、最大限の力を発揮するのがコストコ木更津なのだから。