毘沙門堂門跡は、山科盆地の端にあって、山科駅から20分も歩く。
桜と紅葉の名所であることは色々な旅行雑誌に紹介されていた。
こうした行きにくい場所にこそ、古い都の美があるような気がして僕は訪れたくなってしまう。
誰も知らない京都の名刹、みたいに書かれるとついつい訪れてみたくなる。
境内に入るとさっそくびっくり、毘沙門堂の代表、樹齢100年を超える枝垂れ桜。
両手いっぱいに枝を抱えて、枝には艶やかな桜色がびっしり。
老いた桜には荷が重くないか?桜の枝が重過ぎやしないか?と心配するほどに。
最強のボディガード・四天王のうちの一人、毘沙門天を本尊とする毘沙門堂。
山科盆地の守り神っていう言葉がふさわしい。
山科一帯に睨みを利かせ、邪悪なものを寄せ付けないようにしているのか。
キツイ階段を登り降りして、毘沙門堂の美しいものを探しては写真に切り撮る。
桜があって、ほのぼのとしたお寺かと思いきや、どうもそんな雰囲気でもない。
高台にあるということもあり、防衛拠点、つまり陣屋か山城に近いお寺に思えた。
まるで戦陣のような幟が立っているのは偶然かな。
小さな要塞のように、山の上に構えた備えで、山科盆地を見守る。
天台宗の僧兵が出てきそうな毘沙門堂。
全体的に、どこか猛々しいイメージもあるのは、毘沙門天がいるからだろう。
ところが強いイメージの守護神でも、桜の魅力は離せず、境内に美しい枝垂れ桜を囲っている。
それが可愛くて、ちょっと微笑みを浮かべながら、毘沙門堂門跡を散策していた。
これだけの魅力をたたえた毘沙門堂門跡は、無名の名所どころではないな。
立派な京都山科観光名所、ただ駅からは遠いだけ。
山科疎水の道、桜の写真名所
毘沙門堂に行こうと、山科の住宅街を車で通っていたら、予期せぬ美しい景色に巡り合ってびっくり。
つい車を停めて、見入ってしまうほどに美しい、それは山科疎水の道と呼ばれるところだった。
水景に満開の桜があるだけで美しいのは当然。
京都というか、山科に見事な桜があっても何の不思議もない。
ここ山科疎水の道では、地元のボランティアの方々が道沿いに菜の花を植えていて、
その眩しい黄色とのコントラストが、美を一層増してくれている。
これ以上のパラダイスってないよね、桜・菜の花・水。
ここが古都京都であることを踏まえると、いつも以上に美が割増される。
地元で創って、地元で楽しんで、でも余りに美しいから、他からも観光客が来る。
プラスのスパイラルにはまった山科疎水の道。春の桜の名所、きれいなところだよ。