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主語と述語 日本語と英語(西洋文法)との違い

投稿日:2010年1月28日 更新日:




参考書などを読むと、日本語の主語と述語の関係は動作・存在・有無などの関係を対になって支え合うものであり、

 

主語なしには文章はなりたたない、ということになる。

 

確かに英文法を見るとその考え方は的を射ている。

 

述語が帰属すべき先を、主語が受け止めているのである。

 

また、主語のかたちによって使う述語が変わる、という制約があり、主語の影響力は強い。

 

つまり、英語文においては主語が動詞・目的語・補語の状態を支配しており、

 

意味をつなげるための主語というより、文を定型の文にするために必須のものだと言うことができる。

しかし、「日本語のセンテンスは必ずしも主格のあることを必要としない」

 

とあるように、文章の専門家である谷崎潤一郎氏がこのように言うのはどういうことなのか。

 

一見矛盾であるように思える。

 

調べてゆくと、現実問題として日本語では主語がなくても文章として成立するものもあるのが分かってくる。

 

「いい天気です」「二階に運べ!」などがその例だ。

 

「象は鼻が長い」に至っては主語が分からない。

 

三上章が唱える「主語廃止論」は、文法論をかじったばかりの我々には

 

極論過ぎると思うのでこの説に寄りかかることはしたくない。

しかし、何故日本語には主語がいらないのか、という説が生まれてくるのか、その背景をさぐってみたい。

そもそも主語と述語という考え方は日本文化から生まれたものではなく、明治維新の際に西洋から入ってきた概念である。

文頭に主語を立て、その次に動詞をもってくるという

 

英語の文法(中国語も同じ)は、「神の視点」であり、自らを高い位置におき、

 

そこから状況を見下ろしているということが言われている。

 

「する言語」であり、「人間中心」の言語である英語などの西欧語や中国語が世界の大多数の人たちに受け入れられ、

 

世界言語の中心を占めているという事実がある。

 

論理的であり、客観的である言葉だからこそ、

 

違う背景を持った人間たちの間でもこの言葉は定着しやすかったのであろう。

 

それは否定できないが、日本語はまた別個の歴史文化を経て

 

確立した言語であるから、我々はその日本語の特殊性を理解せずには文法を語る資格がない。

日本語は「動く虫の視点」であると言われる。

 

英語が「不動の神の視点」であるのに反して、日本語は場によりかかった位置での発想から言葉を形成してゆく。

 

会話している相手も言葉筋からその状況を読み取らないと話についてゆけない。

 

場面に拘束されがちな言葉であるということだ。

 

実体験を踏まえたうえで言葉にするにはとても易しいが、

 

状況が分からない他人からすればこれほど理解できない言葉はない。

 

英語・中国語の状況や時系列が明確な言葉とはこの点が対照的である。

島国ということで外国人と接する機会が少なかった日本人が、

長い時間をかけて積み上げてきたものがこの「あうんの呼吸」「暗黙の理解」とでも呼ぶべき日本語である。

 

言語は言語で世界中どうせ似たものかと思いきや、日本語は外国語とはかなり違う。

 

一歩先を読んで相手を思いやる気持ちを出すことが美徳とされている日本文化でこその言葉が日本語である。

 

日本語では全ての文章に主語と述語を逐一補っていると文章が長すぎて、逆にややこしくなる時さえあるのである。

 

日本文化でこそだが、主語を省略してもちゃんと相手には意味が通じるのだ。

 

日本語の場合、話題はすでに話の奥に存在しているし、因果関係も話に含まれており、

それらを客観的・論理的にする言葉は必要とされない。

時制も様々だし、主語を立てる必要性は必ずしもない。

 

場面を自分の頭で読み取る相互理解が前提であり、ひとつひとつの言葉はそれを解説してくれない。

 

非常に分析的な言語であるのだ。

日本語では主語と述語の確立の仕方が逆なのではないか。

 

主語は述語の中に含まれており、必要に応じて抽出され、

 

表現化されるという考えの通り、主語が存在するというのは同じとしても、

西洋文法とは正反対の考え方によって主語が文章を支配するのではなく、

 

日本語の場合は文章の流れの中で主語が生まれる時もある、という程度にしか考えられない。

 

また、日本語の「主語」には英語のように強い拘束力がない。

 

日本語の場合、文法上での形式的な主語の存在はさして重要ではないのだ。

 

 







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