ビザの世界ではちゃんと文書に落として申請することが大事だ。
親が子供の留学費用を払うなんて当然だよね、
でもそれはちゃんと親がレターを書いて申請書類として提出しないといけないよ。
だって大使館も仕事だから常識ではかるのではなくて、紙になったものでしか判断できないから。
未成年がアメリカ留学ビザを申請するとき、費用の捻出先を明示することが必要だね。
それは本人名義の銀行の英文残高証明書が一番いいんだけど、
未成年が100万も200万も持っているわけがない。
だから通常は親名義の英文残高証明書とか、給与明細を添付するんだ。
そして、親から大使館に当てたレターを出そう。こんな文章だよ。
自分の子供だからって、親が出すのが常識だ、なんて考えちゃダメだ。
子供が可愛いならちゃんとカタチにしておこう。
Embassy of the United States of America
Nonimmigrant visa section
Tokyo, Japan
Dear Sir/Madam,
I, xxx XXX(father), respectfully guarantee that I will pay
all the necesarry expenses regarding my legal son,
Mr.xxx XXX(son or daughter)'s study in your country.
Also, I will be responsible for all the action of Mr. xxx XXX(son or daughter)
during his/her stay in the United States.
I thank you for your kind consideration of this application
and look forward to your favorable response.
regards,
(sign)
xxx XXX(father)
「今から考えるとわたし、よくアメリカ留学ビザ取れたな」
tokoは冗談まじりに笑った。
「だって、あの頃、19とか20の時にビザ面接なんてしたら
わたし、ヘンなこと言っちゃいそうだよ。
面接でビザ却下されてたかも!なんてね~」
「大丈夫だよ、その年齢の申請者に詳しい目的なんか聞くもんか。
書類とお金があれば問題ないでしょ」
そうは言ったものの、tokoの言う心配事はもっともだと思った。
アメリカ留学ビザ、それはFの学生ビザであれ、
Mの専門学生ビザであれ、Jの交流訪問者ビザであれ、
一番大切な目的を答えられない人が多いのが実情だろう。
「ケン、もちろんただ英語を学びたい、っていう理由だけじゃ弱いんでしょ?」
「弱いよ。日本の英会話スクールに通えばいい、って言われたらもう反論できない」
「そうだよね。なんか他の目的を立てなくちゃダメだよね。
でも実際あの頃なんて特に目的はなかったもん。
お金を出してくれる両親がいて、
新しい世界に飛び込みたかったからアメリカに留学しただけ。
そんな人が多いんじゃないかな」
「そうだね。まぁ9.11以前はそれでよかったけど、
もう留学=自動的にアメリカ、と考える時代じゃないからね。
他の安心な留学先もいくらでもある。
だから、きちんとアメリカに何を学ぶために行くのか、
そしてそれを日本に帰国した後でどう活かすのか、
それを説明しないといけなくなると思うよ、これからの留学ビザ申請者は」
わたしはそう言って言葉を閉じた。
昔は良い時代だったんだ、まだなぁなぁの世界で互いがある程度信用できた。
でも今はもう・・・。