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アメリカで飲酒運転有罪歴→アメリカビザ申請で問題になる

投稿日:2010年1月28日 更新日:




「じゃぁ、具体的にアメリカで飲酒運転をして捕まったことがある人は

アメリカビザ申請上でどういう不利益があるの?」

あれはミヤンマー大使館からの帰り道。

バス通りまで戻る真っ直ぐの道でケンに報告がてら携帯で電話した時に話が脱線した。

「不利益!身から出た錆だけど、いくつかあるよ。

まずはね、ビザウェイバープログラムなんだけど、これは問題なく適用できるんだ。

つまり、飲酒運転だけだったらビザなしでアメリカ入国は可能。

でもね、入国カードI-94Wの裏面のB、悪いことしたことありますか?

の質問にはYesをチェックしないといけない」

「そっか!それは痛いね。でもスムーズに入国できるのかしら?」

「言えることは、アメリカだからパスポートネームでそういう履歴が全部チェックできる、ってこと。

入国審査官はすぐにデータを引っ張り出せるはずなんだ。

まぁ、その事件の書類一式を素直に出して状況説明をするんだろうね。

毎回かどうかは審査官次第だと思うけどさ」

「それから、ビザ申請の時は何かあるの?」

「もちろんあるとも!申請書DS156の2枚目、38番の質問項目ね。

悪いことしたことがありますか?に、ここもYesと答えないといけない」

「それってイコール、ビザ却下ではないって前に聞いたけど?」

「そうだよ。ちゃんと弁解する余地は残されている。

重度のことでなければきっとビザは発行されるよ。

知っているのにそこにNoと答えてしまったら後が怖いけどね」

そう話していたら、五反田から品川駅に向かう都バスの姿が見えてきて、

わたしは急いで交差点を渡った。

「ありがとうございました、じゃぁこれから帰ります」

そう言って電話を切る。バスに乗って御殿山から品川の景色を眺めていると、

いつも通りの人の数、人の山。

――きっと、そんな損なことがあると先に知っていたら

飲酒運転なんかやらなかったはずなのに。

わたしはそう思う。

知らないこと、こういうことを事前に世間に周知しておいたら、

きっと飲酒運転の最良の防止になるんじゃないかな。

人生を狂わせてしまうたった一度の過ちって本当に怖い。

すれすれのところで生きているような、

薄い人生の分かれ道だな、ってわたしは思った。

アメリカビザ写真6.jpg

「ギリギリのルールだよ、一応表面上の理屈は通っているけど、

モラルというか、フェアというか、サービスの面では明らかに問題がある」

そう言ってケンがあまり歓迎していなかったアメリカ国内でのビザ延長申請のこと、

わたしなりに調べてみた。

アメリカビザ自体の延長申請は現在アメリカ国内ではできないけど、

アメリカ国外の米国大使館・領事館ではできる。

推奨されているのは母国でのビザ申請だけど、

アメリカ国境線沿いの大使館や領事館、例えばカナダやメキシコでも申請は可能なの。

それと、これは以前にケンによく説明してもらったので理解しているんだけど、

アメリカビザのルールでいえば、ビザの有効期限と滞在可能な期限は異なる。

ビザは入国時に有効であればよくて、一端アメリカに入ってしまったら、

I-94(入国カード)に手書きで書かれた日付までが合法的な滞在可能期限で、

アメリカ国内でもI-94の延長申請はできる。

ビザは失効してもアメリカ国外に出ない限り

I-94さえ延長していれば不法滞在にはならない。

だから問題ないみたい。アメリカ国内でビザ延長できなくても、最悪は問題ないよ。

「でもねtoko、よく考えてみようよ」

わたしが覚えた限りのことを口にするとケンは残念そうな表情でこう返してきた。

「それにtokoが今言った通り、理論的にはちゃんと説明がつくね。

昔はアメリカ国内でも延長申請ができたんだけど、まぁ2ヶ月も3ヶ月もかかっていた」

ケンはちらりと視線を落として、

「今後は国外で申請してくれと言われたのはちょうどアメリカビザ制度変更の真っ只中で、

本面接時の指紋スキャニングが導入された2004年だよ。

アメリカ国内ではその設備がないから延長申請はできない、と説明を受けた。

だからといって、I-94さえ延長すればいい、という話にどうして結び付けられるのか、

僕にはどうも納得がゆかないんだ」

と言った。

「アメリカを出たら一週間ぐらいかけてビザ申請をして

新しいビザシールを受け取らないといけない。

それは時間がある人はいいよ。でも忙しいビジネスマンに本国に戻った時に

わざわざ大使館まで出向く時間、一週間もの時間を捻出させるのは酷であると思うよ。

やっぱり、他の方法はあるべきだと思う。

アメリカ国内での延長申請という選択肢も残すのが人道的だと思うんだ。

それはね、自分がアメリカという外国に住んでいる一外国人だ、

という意識がきちんとある人にとっては難なく受け入れられる話かもしれない。

そのくらいの工数がかかっても海外に住むためには当たり前のことだとも言えるけどね」

「ケン、他の国ではどうなの?」

「どこも国内延長はできるよ。

一部の発展途上国では申請に時間がかかり過ぎたり、

賄賂をせびられたり、短いビザしか出してもらえなかったりすることもあるから

日本に帰ってきて申請するところもある。でもそれはごく一部だ。

標準は自国内でできるんだよ。

国内にいる限りはI-94さえ延長しておければいい、という話は

ギリギリの薄氷というか、最低限のラインだね。

税金を払う非移民者、アメリカで生活をしている人に対しては

その扱いは弱すぎると僕は思うんだ。

もっと選択肢があってもいい。もっと厚くカバーする方法があってもいい。

このルールには大反対というわけではないけど、いつ思い返してみても

この国内延長のことは残念なルールだなぁ。やっぱり悲しいことだよ」

そう言って目を逸らすケンの背中はすっかり丸まっていて、

わたしは「改善を求める人の声が集まれば時間の問題でまた変わってゆくよ!」と

励ましてあげたかったけど、どうやら今は声をかけてあげられないみたいに思えた。


1年後。

アメリカビザの再申請において、この1年という数字がキーになることが見えてきている。

例えばLビザだ。

駐在員が帰任して、またLビザを新たに申請しようとすると日本に1年滞在した後でしかできない。

それ以前の申請では以前のビザの延長申請として扱われる。

そこで言われている「1年」はルールとして明言されているから知っていた。

それ以外で見かけた大使館コメントとしての「1年」がある。

ひとつは日本に来たばかりの外国人がB2ビザを申請したら、日本にアメリカビザを申請するために来たとみなされて申請却下され、

日本に1年住んでからまた申請しに来てください、と言われた案件がある。

もうひとつは父親の仕事の関係で子供の頃からずっとアメリカの学校に通っていた子供が、

父親の帰任の後にもなんとかアメリカの大学に行こうとFビザ申請をしていたのだが、

何度か申請でもめた挙句、「アメリカに移住する意志があるとみなします。

日本に1年住んだ実績を作って再申請してください」と言われたケースがある。

この話を総合して、わたしは「1年」という期間がビザ再申請のキーになると分かった。

でもね、一年なんていう時間は馬鹿にしたもんじゃない。

人の人生を一年間待たせることはなんていうか、大変な件だよ。

一年待たせて「やっぱりダメでした」では通用しない。

これは難しいよ、一年待てばなんとかなる、というものでもないし。

一年。一年。

この数字と今後も戦い、悩み、苦しんでゆくのだろうな。

パスポート写真1.jpg

「ケン、この前会った客から意外な話を聞いた。

長年この世界にいるわたしでも、まるで始めてのケースでね、

君の耳に入れておいた方がいいと思って」

「それは大歓迎だね、フレディ!聞かせておくれよ」

「日本企業の人事担当者なんだけどね、

従業員が久しぶりのアメリカ出張から帰ってきて相談を受けたみたいなんだ。

アメリカ入国時にパスポート番号がひっかかって、

別室に連れて行って尋問されたらしい」

「ん?パスポート番号が?」

「そうなんだ。まるで信じられないお話だけど、

その従業員のパスポート情報が盗まれて同じパスポート番号で

以前に香港から不正入国したヤツがいたと聞かされたそうなんだ」

「へぇ。そんな話は僕も初耳だな」

 

「そうだろう?パスポートを紛失して、

そのパスポート番号で偽造パスポートが作られて、

それで不法入国されたのなら分かる。

そうじゃなくて、今自分が持っているパスポートはそのままなのに、

パスポートデータだけが盗まれて悪用されたなんて、

どうやらすごい手口のようじゃないか」

「フレディ、それは数十万人に一人のケースかもしれないけど、

一生そのデータがつきまとうってことじゃないか。かわいそうっていうか、不幸だな。

パスポートを更新して次の番号を入手するしかないにしても、

きっと毎回アメリカに入国するときに質問されてしまうのだろう?」

「多分そうなるよ、ケン。移民局や入国審査のデータは精密なものだからね。

こんなケースは二度とないかもしれない。本当にいい迷惑なケースだよ」

「僕のところでは同姓同名の犯罪者がいる、っていう事例があった。

これも不幸だよね、全然関係ないのに、毎回疑いの目で見られる」

「あぁ。どんなにシステムを作り、万全を期したつもりでも例外中の例外、

稀なケースというのはいくらでもある。

それは麦をすくおうとして手のひらから漏れた一粒かもしれないけど、

彼らに対しての救済措置というのも、考えてあげないといけないね」

これはフレドリック・マックスウェル弁護士が、

グッド・フレンドのケンに語ったグチのような、でも結構マジメなお話。







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