アメリカビザ 飲酒運転

「じゃぁ、具体的にアメリカで飲酒運転をして捕まったことがある人は

アメリカビザ申請上でどういう不利益があるの?」

あれはミヤンマー大使館からの帰り道。

バス通りまで戻る真っ直ぐの道でケンに報告がてら携帯で電話した時に話が脱線した。


「不利益!身から出た錆だけど、いくつかあるよ。

まずはね、ビザウェイバープログラムなんだけど、これは問題なく適用できるんだ。

つまり、飲酒運転だけだったらビザなしでアメリカ入国は可能。

でもね、入国カードI-94Wの裏面のB、“悪いことしたことありますか?”

の質問にはYesをチェックしないといけない」

 

 

 

「そっか!それは痛いね。でもスムーズに入国できるのかしら?」

「言えることは、アメリカだからパスポートネームでそういう履歴が全部チェックできる、ってこと。

入国審査官はすぐにデータを引っ張り出せるはずなんだ。

まぁ、その事件の書類一式を素直に出して状況説明をするんだろうね。

毎回かどうかは審査官次第だと思うけどさ」


「それから、ビザ申請の時は何かあるの?」

「もちろんあるとも!申請書DS156の2枚目、38番の質問項目ね。

“悪いことしたことがありますか?”に、ここもYesと答えないといけない」

「それってイコール、ビザ却下ではないって前に聞いたけど?」

「そうだよ。ちゃんと弁解する余地は残されている。

重度のことでなければきっとビザは発行されるよ。

知っているのにそこにNoと答えてしまったら後が怖いけどね」

そう話していたら、五反田から品川駅に向かう都バスの姿が見えてきて、

わたしは急いで交差点を渡った。

「ありがとうございました、じゃぁこれから帰ります」


そう言って電話を切る。バスに乗って御殿山から品川の景色を眺めていると、

いつも通りの人の数、人の山。

――きっと、そんな損なことがあると先に知っていたら

飲酒運転なんかやらなかったはずなのに。

わたしはそう思う。


知らないこと、こういうことを事前に世間に周知しておいたら、

きっと飲酒運転の最良の防止になるんじゃないかな。

人生を狂わせてしまうたった一度の過ちって本当に怖い。

すれすれのところで生きているような、

薄い人生の分かれ道だな、ってわたしは思った。

 





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