H1Bビザ 上限数

「ビザの世界は本当にややこしい。

僕らのような実務的な話なんて小さいもので、大局を見れば政治的なもの、

経済的なもの、そういうものが根底に流れている」

ケンとマックスウェル弁護士が話している内容はいつも難しい。

楽しいランチタイムに話すことじゃないのに?とも思うけど

きっと二人にとってはこの上なく楽しい話題なのかな。

他の男の人たちがスポーツの話をするように、

女の人たちが昨夜のテレビの話をするように二人は楽しんでいるのかな。

「ケン、聞いたかい?マイクロソフトのビルゲイツ会長が連邦議会で

発言した内容のひとつにH1B発給数上限を廃止して欲しい、ということがあったようなんだ」

「それは聞いてなかったね!なんか凄く説得力のある話じゃないか」

顔を高揚させてケンが口を開く。

「そうなんだな。

我がアメリカは移民の国だから外国からの優秀な人材を獲得することは

最重要項目のひとつだと思う。

まぁ、これは日本も同じだと思うけどね」

「2006年のH1Bビザ発給は65,000でこれは毎年4月に

スタートした途端にすぐにいっぱいになってしまうね。

アメリカで働き、暮らし、そして税金を払いたいという外国人はいくら優秀であっても、

一年もの時間を待たないといけないんだ」

「あぁ、アメリカの大学で修士号を取った人や、すでにH1Bを持っている人の延長申請は

その枠外というルールはあるにしても、実際その枠は狭すぎると思うよ」

「だろう?それはねぇ、国内失業率のことや国際競争力だとか政治的・経済的、

それに軍事的な大局はあるにしても、やはりひずみが出ていたんだな。

それもビルゲイツ氏のような発言力のある方が言うのだから余程のことなんだよ」


「ビザの世界は知ったつもりだったけど、

我々の知らないところでアメリカビザの問題があったっていうことか」

「そうだよな、安全で優秀な外国人はいくらでも歓迎するべきなんだ。

それを政府が一律のルールで発給上限数を決めてしまうのは

政治的な側面からはよしとしても、経済の停滞を引き起こしかねない。

H1Bを発給されるような人物であれば

何万人アメリカに来ようがアメリカの国益を損ねないんだ」


アメリカ大使館近くの虎ノ門の焼鳥屋さん。

頼んだ焼鳥丼が出てくる間に、そんな濃いことを話して二人は

わたしのことをすっかり忘れてしまっているみたい。

ダメね、二人とも。

実務面から、学者面からばっかりビザを見ているから

彼らにだって気づかないことだってあるでしょ。

ビルゲイツ氏の言葉になんだかショックを受けているみたいだ。

「そうよ!」自分の知らない角度っていくらでもあるものでしょ!」


たまには二人に小言を言おうとわたしが口を挟む。

「そのH1Bビザのこともそう。

例えばね、H1BとかH3とか暗号みたいな言葉ばっかり使って

マニアな世界で遊んでいないでもっとシンプルな言い方、"一時就労ビザ"とか

"追加ビザ申請書"とかもっと普通の名称にしたほうがいいと思うけどね!」

そう言うわたしの横で店の人が

「Cランチお待たせしました!」

と元気よく言うので、つい、わたし

「は〜い、焼鳥丼と鶏ガラスープのセットですね!」

とコード化せずに言い直したらケンとマックスウェル弁護士が

難しそうな顔をして苦笑いを浮かべていた。

アメリカ入国審査トラブル

「ケン、この前会った客から意外な話を聞いた。

長年この世界にいるわたしでも、まるで始めてのケースでね、

君の耳に入れておいた方がいいと思って」

「それは大歓迎だね、フレディ!聞かせておくれよ」


「日本企業の人事担当者なんだけどね、

従業員が久しぶりのアメリカ出張から帰ってきて相談を受けたみたいなんだ。

アメリカ入国時にパスポート番号がひっかかって、

別室に連れて行って尋問されたらしい」

「ん?パスポート番号が?」

「そうなんだ。まるで信じられないお話だけど、

その従業員のパスポート情報が盗まれて同じパスポート番号で

以前に香港から不正入国したヤツがいたと聞かされたそうなんだ」

「へぇ。そんな話は僕も初耳だな」

 

 

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「そうだろう?パスポートを紛失して、

そのパスポート番号で偽造パスポートが作られて、

それで不法入国されたのなら分かる。

そうじゃなくて、今自分が持っているパスポートはそのままなのに、

パスポートデータだけが盗まれて悪用されたなんて、

どうやらすごい手口のようじゃないか」


「フレディ、それは数十万人に一人のケースかもしれないけど、

一生そのデータがつきまとうってことじゃないか。かわいそうっていうか、不幸だな。

パスポートを更新して次の番号を入手するしかないにしても、

きっと毎回アメリカに入国するときに質問されてしまうのだろう?」


「多分そうなるよ、ケン。移民局や入国審査のデータは精密なものだからね。

こんなケースは二度とないかもしれない。本当にいい迷惑なケースだよ」

「僕のところでは同姓同名の犯罪者がいる、っていう事例があった。

これも不幸だよね、全然関係ないのに、毎回疑いの目で見られる」


「あぁ。どんなにシステムを作り、万全を期したつもりでも例外中の例外、

稀なケースというのはいくらでもある。

それは麦をすくおうとして手のひらから漏れた一粒かもしれないけど、

彼らに対しての救済措置というのも、考えてあげないといけないね」


これはフレドリック・マックスウェル弁護士が、

グッド・フレンドのケンに語ったグチのような、でも結構マジメなお話。

 

アメリカ留学ビザ 滞在費用

ビザの世界ではちゃんと文章に落として申請することが大事だ。

親が子供の留学費用を払うなんて当然だよね、

でもそれはちゃんと親がレターを書いて申請書類として提出しないといけないよ。

だって大使館も仕事だから常識ではかるのではなくて、紙になったものでしか判断できないから。

未成年がアメリカ留学ビザを申請するとき、費用の捻出先を明示することが必要だね。

それは本人名義の銀行の英文残高証明書が一番いいんだけど、

未成年が100万も200万も持っているわけがない。

だから通常は親名義の英文残高証明書とか、給与明細を添付するんだ。

そして、親から大使館に当てたレターを出そう。こんな文章だよ。

自分の子供だからって、親が出すのが常識だ、なんて考えちゃダメだ。

子供が可愛いならちゃんとカタチにしておこう。

 

 

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Embassy of the United States of America
Nonimmigrant visa section
Tokyo, Japan


Dear Sir/Madam,


I, xxx XXX(father), respectfully guarantee that I will pay

all the necesarry expenses regarding my legal son,

Mr.xxx XXX(son or daughter)'s study in your country.

Also, I will be responsible for all the action of Mr. xxx XXX(son or daughter)

during his/her stay in the United States.

I thank you for your kind consideration of this application

and look forward to your favorable response.


regards,


(sign)


xxx XXX(father)

 

アメリカ留学ビザ 目的

「今から考えるとわたし、よくアメリカ留学ビザ取れたな」

tokoは冗談まじりに笑った。


「だって、あの頃、19とか20の時にビザ面接なんてしたら

わたし、ヘンなこと言っちゃいそうだよ。

面接でビザ却下されてたかも!なんてね〜」


「大丈夫だよ、その年齢の申請者に詳しい目的なんか聞くもんか。

書類とお金があれば問題ないでしょ」

そうは言ったものの、tokoの言う心配事はもっともだと思った。


アメリカ留学ビザ、それはFの学生ビザであれ、

Mの専門学生ビザであれ、Jの交流訪問者ビザであれ、

一番大切な目的を答えられない人が多いのが実情だろう。

 

 

パスポート写真5.jpg

 


「ケン、もちろんただ英語を学びたい、っていう理由だけじゃ弱いんでしょ?」


「弱いよ。日本の英会話スクールに通えばいい、って言われたらもう反論できない」

「そうだよね。なんか他の目的を立てなくちゃダメだよね。


でも実際あの頃なんて特に目的はなかったもん。

お金を出してくれる両親がいて、

新しい世界に飛び込みたかったからアメリカに留学しただけ。

そんな人が多いんじゃないかな」


「そうだね。まぁ9.11以前はそれでよかったけど、

もう留学=自動的にアメリカ、と考える時代じゃないからね。

他の安心な留学先もいくらでもある。


だから、きちんとアメリカに何を学ぶために行くのか、

そしてそれを日本に帰国した後でどう活かすのか、

それを説明しないといけなくなると思うよ、これからの留学ビザ申請者は」


わたしはそう言って言葉を閉じた。


昔は良い時代だったんだ、まだなぁなぁの世界で互いがある程度信用できた。

でも今はもう・・・。

 

パスポート番号 海外発行

信じられないものを目にした。

TEから始まる番号のパスポートなのに、なんと海外発行。

TZじゃないのに、海外発行のパスポートもあったんだ。

そのパスポートに目をやると発行地にLONDONとある。

この前、tokoにTZ/MZのパスポート発行地のことを話したばかりなのに、

そのルールから飛び出しているものがあるなんて。

ロンドン発行のTEを見つけてからわたしは色々調べて見た。

するとどうやら例外はロンドンのTEだけだということが分かってきた。

他のエージェントの知りたいに聞くと知っている人もいれば、まったく知らない人もいる。

現在存在するその例外のパスポートなんてすごく希らしい。

 

 

パスポート写真3.jpgパスポート写真3.jpg

 


まとめよう。

今は違うよ、でも2000年前後にロンドンの日本大使館で発行されたパスポートが

TEから始まる番号のものがあって、しかももうTEパスポートは失効しているものなのに、

2010年ぐらいまで有効なパスポートがある。

大半は機械読み取り式パスポートだからアメリカ入国も問題ないけど、

逐一見てゆかないと読み取り式かどうかは分からない。

TEで始まって有効なパスポートはロンドン発行なんだろうってことも

疑ってかからないといけないようなのだ。

――さぁ、このことをどうやってtokoに説明しよう。

別に悪びれることもないけど、先輩の見栄っていうか、やっぱり今知った、とは言えないもんね。

昔から知っていたような話にどうやってもってゆこうかな。

 





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