大きなミス 小さなミス

「落ち着いてやれば絶対できるから」

店長にそう優しく言われた時は逆にショックだった。


注文が殺到し過ぎて、仕事が全然回らなくなった居酒屋の厨房の焼き場。

慌てたバイトが焦がしてしまったつくねをお客様に出そうとして、

社員のチェックが入り、もう一度やり直しになった時、店長は少しも怒らずにそう言ってバイトを励ました。


酒飲みで、短気で、豪快な性格の店長。

忙し過ぎて誰もがカリカリしている時なのに、

バイトの若僧の無謀なミスにも動じることなく、そう言って逆にバイトを励ます方法を取った。


店長の性格を考えれば、怒って一喝のほうがよっぽど似合っているのに。

大体いつも細かいことで、ガミガミ叱ってばっかりだったじゃないか。


ただ怒られるよりもずっと強烈に意識に残った、その店長のメッセージ。

部下への愛情のある叱咤激励。

その一言だけでバイトの若僧は店長を尊敬し、

その後は店長のためならばどんな苦労も惜しまない忠実な部下となった。

 

 

 


小さなミスはいくら責めてもいい。

細かく言って、うるさく繰り返して、改善を促すべきだ。


ただし、大きなミスの時こそ、あえて不問に帰すべきではないか。

大きなミスをわざとやろうとする人はいない。

何らかの原因が重なって大きなミスが出てしまったその時は、

ミスした人を叱りつけることじゃなく、先輩や上司がフォローしてあげるだけでいい。


いつかそのバイトの若僧が大人になった時、店長のことを思い出して

自分の部下の大きなミスを救ってあげる日が来ると思うよ。


店長の剛直なイメージと、優しい一言のギャップに

若僧がやられただけかもしれないが、その逆説の一言で、一生の敬意が生まれた。

 



派遣切り 3年

ごめんなさいね、派遣切りと同棲期間にみる3年っていう数字をちょっと考えてみましょうよ。


派遣社員が同じ仕事で勤められる上限が3年間。

それ以上雇用したいのなら正社員にしないといけません。

同棲して3年経つとそれはもう事実婚とみなされて、一方的な同棲解約には慰謝料が発生するって言われますね。


3年。どちらも3年。

基本的な考え方が3年1周期だとすれば、派遣契約って

3年までは雇用を保障してくれるってぐらいに考えておこうと思った。

大企業では3年に1回、人事異動でジョブローテーションがある。

中学も高校も3年で一区切り、とにかく3っていう数字は昔からバランスのとれる数字として重宝されてきた。

3人のチームが最も効率的だとか、3人いれば文殊の知恵だとか。

 

 

 


全ての区切りが3年だったらもっと分かりやすいのに。

車検は2年じゃなく3年更新になって、大学もいっそ3年で卒業。

結婚も3年更新にしちゃったりして、テーブルの足も4脚から3脚。


ごめんなさいね、すっかり話が逸れたけど、派遣切りっていう時間はシリアスなこと。

終身雇用を求めるなら派遣社員っていうのはあり得ないでしょ。

 

それで派遣切りにあったら、どこを責めるかって、大元のルールを作ったところ。

企業はそのルールに従って運用しているだけじゃないかな?

そこに甘えるのはなんだか話がずれて、ただの感情論だって思うよ。


労働派遣法っていう法律は何のために作られたの?

経済が良いときは話題にあがらないのに、こんな不況の時になってようやく注目される。

最初に被害者が多いのはどの世界でも共通ね。

その被害状況を確認してからでないと、ルールが作れないのは役所の定番。

リスク回避っていう考え方が、どうして法律制定の時に重要視されないのか不思議。


派遣切りと同棲期間にみる3年間っていう数字。

やっぱり最後は自己防衛しかないじゃない。

器用な私は良くても、不器用なあなたは被害を受ける。


「企業は勝手だ!要らなくなったら派遣社員から解雇する!」

よ〜く考えましょう。それって当り前の話ね。労働力の調整弁が、派遣社員なんだから。

残酷よ、資本主義だし、ここは競争世界。

だからこの派遣切りの様相を見て、せめて自分だけは実力と資本を蓄えておきましょう。


ごめんなさいね、取り留めのないお話で。

 



予祝

予祝しよう、来年には新しいお店がオープンするのだから。

お祝いは事柄が全容を見せた後でしかできないなんてルールはないよね。

めでたいことが起こるのが確実になった時、僕は予祝しておくクセを持っている。


予祝のチカラ、それは信じることで本当に叶う可能性を引き上げる効果。

僕の願いは9割の実現性を有したとしよう。

あとの1割を引き寄せるために、予祝のチカラを使う。

 

 

 

 

駅前に大型ショッピングモールのがオープンすることが決まりました。

この喜びをどう表現すればよいか分からなくて、溢れる感情はどうにも止めることができない。


新しいお店はあと少しで開店するんだ、来年にはそのお店で週末のショッピングをする僕がいる。

神頼みに似た予祝だけど、その効き目は大きい。

先に祝ってしまえば、もう事実は後からついてくるしかない。


予祝で現実化を呼び込め。自己暗示をしてしまうのだ。

予め祝ってしまう予祝のテクニックを、僕は信じている。

 





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