未来の車のデザインは「楕円形」一択で!

あれはトラさんと草団子の形について口喧嘩していた時。
”真ん丸にしちゃぁダメだ、客が遠のく”と何度も繰り返すトラさんは、
話を脱線させて”未来の車ならデザインはパンプキンのごとき楕円形にしろ”と息巻く。


「なんで未来の車と草団子を一緒にするのよ」と私は一蹴する、ついでに足を組み替える。
すると肌の色に一瞬目移りしたのかトラさんは、ちょっとトーンを弱めて言葉をつなげる。
”パンプキンは鈍くさいが、愛嬌・親しみ・温かみがある。
肩でも組んで一緒に盛り上がりたい気分になるだろう?”

 

 

未来の車のデザインは楕円形1.jpg

 


「つまり自分と対等か下が良いってことね、身分階級闘争かしら」
イヤな感じたっぷりにそう突き放す私に、トラさんは唾をぺっぺ、と飛ばしながら言う。


”未来の車の見かけは楕円に!
例示するなら、大福・ふぐ・提灯あたり。
間違っても、真ん丸や縦長の丸にしてはいけない!”


私には分かっていた。
トラさんのその古くさい考え方、あなたは旧車にそそられるタイプだわ。


「ハイセンスを欠如させた、平々凡々としたスタイルに未来の車のデザインは宿る
できるだけロートーン、かつ朴訥な音調で私はそう呟いて、新東名高速道路沿いにオープンしたコストコ岡崎を眺めた。


トラさんはサングラスに目の感情を隠しながら、私のいる助手席を向くと短く一言。
”それは何故だね、キミ?”
だから私は速攻で答えてあげたの、今後はハイトーンで可愛らしく。
尖ったデザインは人を遠ざける、だって、手が届かないセンスがそこにあるから」

 

私の毒舌に、きっとトラさんは心を飛ばしていた。
そのままハンドルは握っていたけど、タイヤは道路上ではなく、
土埃が立つ岡崎市の古道・道根往還を滑っていたのでしょう。

 

 

未来の車のデザインは楕円形2.jpg

 


”ねぇ、ハイブリッドとか難しい仕組みは理解できないんだ。
それだったらまだ電気自動車のほうが身近だな”
漂うような口調に変わって、スピードをやや落とし、トラさんは奇説を再開させた。


”どぉせおいらは、ありきたりのもの、普通のものに囲まれていないと落ち着けない。
突出、傑物、抜群、そんなのはおいらの半径1メートルには不要!”


あら?わたしはいつもトラさんの肌そばにいるのにどういうこと?
そう言いかけて口を噤んだ。


”大衆の10%が期待値を上げて待ちわびる鋭角ではなく、
大衆の90%が毎日に必要とする鈍角の方が、未来の車のデザインに相応しいのでは?”


変な議論はそれっきり。
草団子は平べったいほうが客が手を伸ばしやすくなる。
未来の車を人口全体にまんべんなく行き渡らすのなら、楕円形のほうが浸透が早い。
まとめるとそういうこと、ねぇ、トラさん?

 



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