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直前割引宿ラストミニッツ、ワケありの新宿泊商品

投稿日:2011年10月1日 更新日:




ラストミニッツの宿予約、直前割引があったり、当日宿泊予約でのお得感があったりして。

いいえ、ラストミニッツというのは、散りゆく桜の意味。

 

京都の桜名所を訪れる人たち向けに創った宿泊レートに、

ラストミニッツという名前を付けて、私たちの宿は観光客へ販売しているの。

だって、満開の桜ならば何の割引もせずにお部屋を販売しても、

宿泊客のみなさんには満足してもらえると思うけど、それがどうかしら、

4月も中旬すぎ、桜が散り去る寸前とか、少し前になると、桜を期待してきたのに、

もう散り途中にあるのを見て、がっかりされても不憫だから。

桜のラストミニッツ、その時期に宿泊予約してくれる人には、宿泊料金を割引してあげちゃう。

だからどうぞお願いね、京都の桜、特に私が一番だと思っている平野神社の桜を愛してね。

 

この桜ラストミニッツパッケージは、別に宿泊料金の割引だけじゃなくて、

アメニティグッズで差別化しているところにも注目して欲しいな。

シャンプーリンス、ボディーローション、ちょっと原価が高いけど、

しっかりしたブランドのものを提供しているから、女性には必ず喜ばれるはずなの。

直前ならではの美学ってある。

ホテルや旅館の予約が直前だと割引されるって、もうだいぶ世間に周知されているわ。

超一流アスリートがピーク時に引退するのは、最高潮が散りゆく寸前のギリギリを見極めたからね。

散りゆく寸前の花が愛しいっていうのも、見える人には見えるラストミニッツの楽しさ。

葉桜を美しいと思う心境って、すごく大人だと思うの。

ラストミニッツの宿予約をして、散り桜と葉桜を愛でる旅行、

そんなのも、新しい4月中旬のイベントになると思わない?

 

 

当日割引の宿に儚さを感じて、わたしは涙もろくなっていた。

だって、宿泊業界の商品である宿は、在庫が抱えられなく、明日になれば消えてしまう存在

泡雪のごとく、霧雨のごとく、現実の姿が見えない、もろいものだから。

 

今夜のお客さんがつかなかった宿の部屋は、

主を欠いたまま、音のない夜を過ごさないといけない。

 

宿の経営者としては、販売できなかったことで一銭も収入がなく、稼働率が下がるダメージ。

感傷的なことを言えば、せっかく宿泊客のために飾り揃えた宿が、

そのまま使われずに一夜を過ごさないといけない寂しさ。

いつか、技術の革新があれば、今夜の空き宿が、明日の在庫となりうるのだろうか。

いいえ、こればかりは代用が効かないもの。

 

そしてわたしは当日割引の宿という新商品に力を注ぐようになっていった。

どうせ暗闇の中で過ごさせてしまう空き部屋を、どうにか明るい人の声で埋められないか。

もちろん儲けのことも考えてだけど、稼働率を上げるためなら、若干の割引なんて厭わない。

宿泊日の直前なら、もう通常ルートで宿泊予約が入るわけもないから、

思い切った当日割引を設定してみる。

 

この当日割引の宿は、思わぬ成果をあげることになった。

正直、ウチの宿では当日割引には50%割引という無謀なサービスをつぎ込んでみた。

それはひとえに、稼働率を上げて賑やかな宿にしたかったからという理由で、

別に当日割引のお客様が利益になっているわけじゃない。

でも、払ってくれる宿泊代は、宿の従業員たちの人件費をペイしてくれたし、何より宿が人で埋まって活気が出た。

すると、宿の口コミサイトではウチの宿が、

賑やかでサービスの良い宿だということで評判になって、当日割引以外の通常宿泊客が増えたんだ。

ありがたいことね、当日割引の宿。

なにかきっかけがあれば、あの稼働率に苦しんで無音が続いた宿が、

宿泊客で埋まり、収支も稼働率も上がる宿になる。

当日割引の宿に力強さを感じて、わたしは涙もろくなっていた。







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