京都一周トレイル 東山コース トレイルランニング
京都一周トレイルをトレイルランしようと思った、37歳になったので37kmを。
東山コースの伏見稲荷からスタートして、目標は鞍馬寺まで。
寺社を訪ねて30回ぐらいは京都に来ているが、京都外周の山野は足を踏み入れたことがない。
京都の地形を理解し、普段は行かない場所にも行ける興味深いコースだと思って。
朝6時から走り始めるつもりが、前日夜に早く家を出れず、なんとスタートが8時まで遅くなった。
京都一周トレイルの第1号標識は、京阪の伏見稲荷駅にあった。
伏見稲荷には初めて来たから興味津々だったが、最小限に観光して、ひたすら先を歩く。
しかし伏見稲荷の朱色の鳥居の数、連なり、魅せ方には驚いてしまった。
一眼レフを持ってきて撮りたくなる気持ちを抑え、こんな場所を走れる贅沢にひたる。
400段あるという階段を上り、四つ辻まで進む。
ようやくトレイルになったのでゆっくりと走り出す。
すぐに住宅街になって、標識はあったのだが、見落として進み、大きな寺が見えたらと思ったら東福寺だった。
走り出したばかりで元気だったので、紅葉の東福寺を思い出し、境内を散策。
東福寺を突っ切って京都一周トレイルに戻れるかと思ったらムリで、結局元の場所まで戻る羽目に。
この往復1.5kmのロスは大きかった、落ち着いて進もうと心に誓い、御陵と泉涌寺を通過。
i-phoneのグーグルマップで経由地に印をつけておいて、GPS機能で迷わないようにしたつもりが裏目にでまくり。
悲田院の境内まで走ってしまったら、眺望は良かったものの、ここでもコースアウト。
剣神社を過ぎた住宅街でまた道に迷い、通行人から声をかけられて感謝。
度重なるコースアウトで心身にダメージ、朝早く出発できていなかったから焦りも出始める。
京女鳥部の森に入ると、鬱蒼とした野山、京都市内にもこんな場所があるのか。
国道1号線に出たら、致命的なミスをした。
渋谷街道に左折せず、そのまま国道1号線を直進してしまって、「あれ車道?」と思いつつ後戻りもできず、そのまま街中へ。
これでまた往復1.5kmはロスだよ、ここで大きな心身消耗+時間的な焦りがMAXに。
清水山から東山山頂公園へは軽い山登り、あの清水寺の裏はこんな山だったんだ。
鞍馬寺までの先は長い、ましてや祭壇の難関・比叡山の登りが待ち構えているのに、こんな場所で時間を使えない。
今回新調してきた、SHINANOのトレッキングポール「フォールダーFree」は軽量、強度もある。
この強い味方を両手に、将軍塚〜尊勝院〜粟田神社と駆け抜けて、お昼休憩を三条通のコンビニで。
焦りつつ、スタートしてから初めてまともな休憩を取り、次の蹴上からに備えた。
桜の名所・インクラインは、すっかり新緑に様変わりしていた。
蹴上駅からねじりマンボという赤レンガ積みのトンネルを越えて、直進してしまって今日5回目のコースアウト。
南禅寺への近道を見つけたが、ここでも心身消耗を繰り返してしまう。
日向大神宮までは登坂、「元伊勢」の別名に相応しく、厳かな空気を感じた。
ここから山の中のトレイルになり、時間を稼ぎたい僕は走り始める。
岐路の思案処では熟考をかさね、コースアウトをこれ以上繰り返さない!と勉強。
東山の南禅寺や永観堂の裏はこんな山になっていたんだ、なるほど、紅葉の美しさはここからか。
大文字山の山頂に火床があるようだったが、目的地優先になっている僕はコースを直進。
今思うとちょっと惜しいことをした、火床は見ておきたかったなぁ。
下り坂が続くのでペースをあげて走る、銀閣寺のすぐ裏手なのにこんなに本格的な森があるなんて。
波切不動尊の石仏に武運を祈り、霊鑑寺まで降りてくると、哲学の道付近の観光地に着いた。
トレイルランニングの格好はちょっと恥ずかしいぐらいの観光客の数、ゴールデンウィークの京都だからね。
哲学の道から銀閣寺へ、白川通のサークルKで休憩を取りつつ、日本バプテスト病院まで。
京都一周トレイルの最難関・比叡山延暦寺越えを前にして、ますます焦る僕。
すでに2時、予定よりも2時間遅れだなぁ、スタートの寝坊と途中5回のコースアウトが響いた。
伏見稲荷から銀閣寺から18kmほど、鞍馬寺までまだ半分なのに6時間が経過、太陽が落ちる7時まであと5時間。
足と体の疲れはまだ大丈夫だけど、時間が足りなくて鞍馬寺までは行けないかもしれないな・・・。
比叡山延暦寺か大原で終わりにしないといけなくなるかも、と弱気になった頃。
日本バプテスト病院から大山祇神社へ、沢沿いの登山口という雰囲気。
比叡山延暦寺に興味がある、京都からすぐの距離なのに戦国時代は独立した勢力だった。
距離感や地形を肌で感じれば、何か分かるものがあるだろう、と楽しみにしていた。
標高800m級の比叡山一帯を登って、また大原で降りるのだから京都一周トレイルでもキツいコースなのですが。
比叡山ケーブル駅まで約2時間、無心で歩き通した。
途中は登山そのもので何も写真に残したいものもなく、無名の石仏が迎えてくれたりもしたが、中難度の山登りそのもの。
ふと気づけば京都の街並みが眼下に、都を見下ろすとは大したポジションだよ、比叡山。
深い山林、もはや都とは別世界ね、近くて遠い。
閉鎖されたスキー場、この周辺から空気が変わってきた気がする。
文化の香りが、非日常の匂いが、下の写真のトレイルに顕著なのだが、カメラに撮りたくなる美しい気配。
18:00からの暗闇到来まであと2時間、鞍馬寺までは無理だ。
比叡山延暦寺からバスで帰るか、大原まで山を下りたところで終わりにするか、行けるところまで行こう。
比叡山延暦寺、以前に車で来たときと違うものを今日は感じた。
一言でいうならパワースポット、修行僧たちの特別な気配。
夕方になり人気も少なくなっていた比叡山延暦寺付近を歩けば、世俗を離れた空気が強い。
通過するだけでは惜しくて、もっと時間をかけて写真を撮りたいなぁ、紅葉の頃かなぁ、とつくづく。
なるほど、地理的には近くても、都とは別物だね。
こんな山城に多くの僧兵がいて、宗教という強い絆で固まられては手強い勢力だ、これが比叡山延暦寺か。
比叡山延暦寺を満喫した後からが勝負だった。
せめて大原まで暗くなる前にたどり着きたい、それにはここからの山下りを本気のスピードでしなければ。
伏見稲荷から30km近く動いてきたが、足に重い痛みもなく、まだ平地を走れる。
横川中堂まで一息に走り、仰木峠手前の急な登坂に息を切らしつつ、先を急ぐ。
仰木峠を18:00前に通過、ボーイスカウト道を下り、林道から大原へ。
大原の優しい田園風景が、時を急ぎ続けた僕を迎えてくれた、京都一周トレイルランニングのゴールの時。
伏見稲荷から大原までは34kmだけど、コースアウトを3km以上した僕にとっては37kmの目的地ということで。
朝8:00に伏見稲荷をスタートして、18:30に大原。
結局、登坂/下坂が多くて全体の1/3も走っていない気がするよ、しかし体は元気でまだ10kmぐらいは動けそう。
やはりスタートの遅さと、途中のロスタイムが悔やまれる、鞍馬寺までは行けたなぁ。
途中、何人かの人たちに話しかけられたが、「伏見稲荷から大原まで走ります」と言うと、みんなびっくりしていた。
それも分かる気がする、とんでもない距離だからね。
京都一周トレイルランニングは良い刺激となりました、ロマンに溢れるコースで、長丁場でも飽きることがない。
いにしえの旅人たちもこんな移動をしていたのだろう、と考えると僕の趣向に合って。
京都の街中だけを歩いていては知ることもない地理感覚や距離感覚が分かり、京都がより身近なものに。
37才・37km、一生忘れられない一日になったなぁ。