現状の最上

「与えられた状況の中での、最上を取ればいい」

ある紳士は穏やかな口調でそう言った。


無理を通そうとゴネるのではない。

自分のことだけを主張してワガママを言い、多くの他人に迷惑をかけるのではない。


時間の流れるまま、縁が及ぶがまま、その時自分に与えられた状況をありのままに受け止め、

 

その中でも許される範囲で最上のものを獲得しようと求める様には、美しさが漂っている。


あれはブラジルへの海外出張。

混んでいてキャンセル待ちからやっと取れてきたJALの予約。


でも座席番号が通路側も窓側も取れなくて、3人がけの真ん中の席という最悪のパターンしか指定できなかった。


申し訳なさそうにそれを告げてきた旅行会社の人に対して、

その紳士は感情を見せることなくあっさりと承諾してくれました。


「24時間以上の長距離フライトだが、他の航空会社の通路側よりもJALの真ん中席のほうがマシ。

与えられた状況の中での、最上を取ればいいから、これでいいよ」


あれはあなたのコロンビアへの海外赴任。

滅多に発生しない難しいビザだから、必要書類が一転二転して迷惑をかけてしまった。


最終的に当初の出発予定日から遅れることなくビザは取れたのだが、

案内の不備を詫びてきた旅行会社の人に対して、その紳士は言ってのけました。

「最終的に出発に間に合ったからいいよ、ありがとう」


あれは2001年のこと。

上村課長、あなたは確かに私にそう言ってくれました。


中庸の上とでも言うべきか。

こんな素敵な言葉を引き継いでゆきたくて、ここに残すよ。

 

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