ケビン・ランデルマンが亡くなったと聞いた、あのランデルマンが。
人の生死は時間の長短の問題とはいえ、ランデルマンが見せてくれた男気のことを忘れないため、詩的日記に残しておこう。
あれは2004年4月のPRIDEでのこと、ランデルマンはミルコ・クロコップを左フックで倒し、そのままパウンドでKOした。
打撃ではPRIDE最強と言われたミルコを、レスリングをバックボーンに持つランデルマンがKO?
意外過ぎて、誰もがびっくりした。
本来なら、ミルコがあっさりとランデルマンを左ハイキックで倒して、そのままヒョードルと優勝を争う筋書きだったのに。
ランデルマンは噛ませ犬というヤツで、ミルコの引き立て役でしかなかったはず。
僕が驚いたランデルマンの男気は、その逆転のことではないんだ。
PRIDEの寵児・ミルコのために、PRIDEは同年12月にリベンジの舞台を用意した、あまりにも早い再試合だ。
結果はミルコの勝利、打撃も寝技も警戒しまくったミルコに誰も勝てるわけがない。
仕事とはいえ、ミルコとの再戦を受けたランデルマンに僕は男気を感じた。
そのまま逃げても、「ミルコに勝った男」として、名誉を手に入れられるのに。
2回目の噛ませ犬、今回こそ負けは必至なのに、本当に受けていいの?
1回目の勝利の時、ランデルマンは言ったな。
「俺だってミルコは怖かった。でもお前たちのために、俺は戦っているんだ!」
その心根で、ランデルマンは極めて不利な再戦を引き受けてくれたのだろう。
ケビン・ランデルマンの男気が忘れられない。
僕も君も、困難に直面したとき、ランデルマンのような男気で立ち向かうのだ。