どうねおうかん

「どうねおうかん」は当時の高速道路だと思えばいいのね。

 

閃いた私、小呂池を過ぎて「どうねおうかん」に入り、しばらく走ったところ。

 

岡崎城下の混雑、岡崎市東公園からの登坂を長々と経て「どうねおうかん」へ。

 

 

 

 

日々の悩みが失せたかのように道が平坦になった。


走る速度を上げて馬の背道を一息に通り抜ける。

 

神がかかったような自分の速さに驚いていたら、横に服部半蔵が並走していた。

 

殿から吉田城・長篠城への急使を頼まれた時、俺はいつもこの「どうねおうかん」を選んでいたな。

 

フラットなトレイルはランのし甲斐がある、道根往還でスピードクイーンになるといいさ。

 

 

 


えっ?伊賀忍びの頭領も「どうねおうかん」を走っていたの?

 

幻想を取り払ってくれたのは、ちらりと見えた新東名の高速道路。

 

新旧の高速道路が混じるなんて、やはり「どうねおうかん」は地理に恵まれているのね。

 

 

数ある山道の中でも「どうねおうかん」の平ら具合は味があるもの。

 

だから山中を走る酔狂な遊びに耽る私はここが気に入った。

 

 

 

 

速さを増して、私は「どうねおうかん」を走り続ける。

 

正立寺までの時間を楽しもうよ、私はいにしえの高速道路に乗っているの。

 

岡崎 トレイルランコース

標高差がないトレイルランニングコースの方がいいな。

何を楽しみたいって、木々の匂いとか、土の踏み心地とか、天然のもの。

便利な車道・アスファルトをあえて避けて、不安定なもの、容易ではないものを僕は選ぶ。


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道根往還があるじゃないか、岡崎市には。

鎌倉時代から存在する古道、1,000年前後も使われてきた道。


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道根往還の東端、正立寺・八幡宮を走り出そうとして、走り出せない。

歴史を重ねてきた場所なのだろう、石と木から放たれる風情に感じるものがあって、見とれてしまう。


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炭や米を馬に積んで商人たちが行き交っていた道根往還、1日100頭の馬が往来したとか。

それが明治時代まで続いていたのだから、日常的に使わなくなってからの時間の方がはるかに短い。


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馬を歩かせられる=急坂ではないな=歩きやすいな=走りやすいな=トレイルランニングには最適だな。


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県道335号線にぶつかるまでは登りが続く、何故か大岩が転がる空き地を抜けたあたりからトレイルランのパラダイスになる。


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いにしえの名のある道=現代の高速道路と考えてもいいだろう、いよいよ平坦になった道に走る足が止まらない。


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やすらぎ公園は明るい場所だ、亡き人を惜しむジメジメとした雰囲気はない。


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道根往還の後半に入る直前、墓石のお店で派手な飾りがあった、親しみが湧くような作り物、キャラクターや動物の石像。


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馬の背道に入ると、制限時速100kmを振り切ってしまいそうなスピードが出る。RUNが止まらない。


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現存する道根往還は東西わずか10km程度しかない、岡崎城と奥三河とつないだ交通の要所だったのだろう。


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石畳が最も残っているところ、雨と泥に馬の足がとられないような工夫、風化してはダメよ。


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トレイルランニングを20kmもすると足腰に重いダメージがくるが、ここ道根往還では傷は浅い、平坦なコースだから。


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そのくせ自然を感じながら思い切り走る光栄に浸れる道根往還、愛知県岡崎市の名トレイルランコース。


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小呂池から東公園へは急な下り坂、折り返して正立寺まで全力疾走で戻ろう。

言わばトレイルランニングコースの高速道路、そんな道根往還を僕は好んで走るよ。
 

川中島 トレイルランニング

川中島の戦い、子供の頃からずっと気になっていた。

啄木鳥戦法を見破った上杉謙信が、武田信玄の本陣に切り込むイメージ。

謙信の刀を軍配で受け止めた信玄、英雄同士の直接対決。


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大人になるともうちょっと知識が付いた。

広い視野で見ると大名としては武田信玄が格上に思えるし、川中島の戦い(第四次合戦)の後もこの地を支配したのは信玄=勝者は信玄だと。

ただ、双方が壮絶な生き様を見せた川中島の地を知りたい、触れたい、それなら川中島をトレイルランニングするのが一番だ。


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ではまず出発地は海津城(松代城)にしよう、高坂昌信ら武田別動隊が深夜に出立した場所。妻女山を経て八幡原まで走る。


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真田信之から代々、真田家が松代城を居城とした歴史があって、真田六連銭が誇らしく飾ってあった松代城付近。


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松代城下町は洗練・清潔に再現されている、真田幸村の英雄伝説はこんなところにも影響を与えているのか。


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妻女山展望台は便宜的に作られた現代の見晴らし台であって、当時の上杉謙信の本陣よりはずっと下の位置にある。

素直に車道を走っていく気にはなれないから、グーグルマップを見て林正寺そばの林道から山にあがる。

老女に道を尋ねると「(ランナーがこんな細い道に来るなんて)珍しい」と言って歓迎してくれ、色々教えてくれた。


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林道をひた走って展望台方面へ、まるで僕は武田軍の甲州透破。上杉軍の軒猿に見つからないように忍び寄る。


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憧れていた、妻女山展望台からの川中島の景色。橋で千曲川を超えた先に決戦の舞台・八幡原がある。


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少し展望台(赤坂山)を登って行く、上杉謙信の本陣があった斎場山頂に行ってみたい。


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15分ぐらいで謙信本陣(斎場山古墳)へ、現在は木々に囲まれて見晴らしもないけど、ここで謙信は指揮を執っていたのか。


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近くにある陣馬平へ、上杉軍の兵士が詰めていたという場所。分散させたとしても数千もいられる?昔の数字は伝説が入るから正確とは限らない。


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啄木鳥戦法を見破ったとして、それに全軍の生死を預ける決断をした上杉謙信の勇気を感じた。

僕は妻女山頂から一気に山を下る、狙いは八幡原の武田信玄本陣。


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妻女山を下ったところに、上杉謙信槍尻の泉という場所があった、謙信が槍の尻で突いたら水が湧き出たという英雄伝説だ。


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妻女山から千曲川までは平地がずっと続く、ここに千の兵と共に陣を敷いた甘粕景持らに想いを馳せる。

死の殿(シンガリ)だろう、武田別動隊が妻女山から慌てて降りてくるところを、千曲川を盾に時間稼ぎする。


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もうひとつ、妻女山頂に残っていたという上杉軍100名の生死はどうなったのか。

想像するだけでも恐ろしい戦いが、この景色の中で行われていたのだろうと思うと、自分のいる場所に身震いする。


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千曲川を渡った先に見つけた石仏に手を合わせる、不幸な時代、人間が一層愚かだった時代の犠牲者たちに。


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今の千曲川はキレイな景色に見えるよ、美しい歴史ロマンだけが風化の末に残った川中島。


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リンゴ畑の向うに見えてきたのが長野オリンピックの開会式・閉会式会場になった長野オリンピックスタジアム。


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川中島の戦いがあった場所に建てていいの?と思ったが、現代はそんなこと考えなくていいね。遠い昔のお話。


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武田信玄の弟・武田信繁のお墓がある典厩寺を通り、いよいよ八幡原史跡公園へ。


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ようやく出会えた一騎打ちの像。この二人に逢いたかった、車で来るのではなく、長い道を自分の足で走って来たかった。


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日本の合戦上でも比類ないぐらいに高い死傷率だったと言われる川中島の戦い、その跡地はこの通りキレイ。

血が流れ、人が死んだなどと想像ができないほど。


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関ヶ原にはなんだかうめき声が残っているような気がしたけど(12月の雨の日だったからかな?)、

川中島には哀しみの痕がないような、新緑の晴れた日だったからかな。


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子供の頃、歴史ロマンに憧れた川中島を自分の足で感じる。誰に伝えるわけではないが、自分の中では満足。


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軍配で刀が受け止められるものか、そもそも大将同士の一騎打ちなんてあり得ない。

それぞれの地元で愛された名君二人の人気ぶりがこの像を生んだってことか。


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1万人か数千人か実数は分からないけど、多くの部下たちの生死を分ける判断をした両大将、どんな想いで移動を決断した?


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勝鬨を上げた武田軍はそのまま海津城へ引き上げたというから、僕も海津城へ走って戻る。今一度、千曲川を渡った。

その頃、北にある善光寺の手前にある犀川では逃げ遅れた上杉軍が武田軍の餌食になっていたはず、想像するのも恐ろしい絵。


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あちこち走った僕、妻女山ではトレイルランニング、川中島に降りたらランニング、その合計は18kmほど。


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武田別動隊に近いルートで川中島の戦いを疑似体験する川中島トレイルランニング、本物の戦でこの地を訪れなくて良かった。

古戦場トレイルランニングはこれで当面終わり、当時に亡くなった人への哀悼の気持ちを込めたRUNでした。
 

京都一周 トレイルランニング

全長70kmの京都一周トレイルのうち、最も美しいのが東山コースだと知った。

伏見稲荷〜清水山〜大文字山〜銀閣寺〜比叡山延暦寺、京都の有名どころが連続。

どれも程よい距離感なんだ、トレイルランニングを中心にしつつ、息抜きで観光できる。


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前回の京都一周トレイルランニングでは、体力の限界でショートカットしてしまった東山コース。

道に迷い過ぎたこともあって、無念が残ったままだった。

30代最後の挑戦、今を逃すと当面は走れないから、東山コースを再度走ることにした。


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東山コースのスタートが伏見稲荷というのは贅沢、しかし見どころが多すぎて写真撮影と観光にパワーを使ってしまう。


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四つ辻の先から京都南部を一望、大鳥居が見える。

 

朝7時過ぎに歩き出して、結局1時間近く伏見稲荷の世界に引き寄せられていた。


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泉涌寺を過ぎ、標識9-2と10の住宅地で迷ったが、優しい地元の方に声をかけてもらってコース修正できた。

この辺りは平地ばかりなので、RUNで駆け抜けるスピードが心地良い。



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国道一号線を地下道でくぐり、清水寺の裏、清水山から東山山頂公園へ。京都タワーが見える展望台。


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先を急ぐか迷ったが、将軍塚を拝観してみると予想を超えて素敵な場所だった。

清水の舞台よりも大きな舞台(木製展望台)があり、その先の景色と合わせて最初に目にしたときは感激の声が出た。


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ここからの京都の夕景・夜景は美しいだろうな、いつか三脚とフルサイズカメラを持って試したいものだ。


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休憩がてら、青不動明王(国宝)と向き合って過ごした時間は意味深だった、それから庭園もキレイな将軍塚。


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青蓮院門跡からは下り道、知恩院の裏山を通って東山の都ホテル京都〜蹴上駅付近のねじりマンボ。


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新緑のインクラインから坂を上がり、日向大神宮へ。走る途中に有名な場所が点在しているから楽しい東山コース。


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日向大神宮からは伊勢神宮に近い空気を感じる。


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天の岩戸くぐりを過ぎると山道へ、南禅寺の裏山を通っていることになるのだろう。





トレイルランニングと書いたが、今日は予定距離が40kmと長いし、体力の温存を考えて登りは歩き。


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京都一周トレイルをそれて、大文字山の頂上へ。降りると銀閣寺の横に出た。

広角レンズではないので撮れないが、広がる景色が異様に近いことに驚き。山と街が隣接しているのが京都。


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哲学の道、先月に来た時には散った桜の花びらでピンクの川が出来ていたのに、今日は新緑一色ね。


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日本バプテスト病院からが、いよいよ比叡山登りだ。東山コース最大、いや、京都一周トレイル全体でも最難関。

標高差約600m・2時間ほどの登山だ、これ単体なら良いが、今日は40kmを走る予定なので体力をここで多く使う。


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もはやトレイルランではなく、単なる厳しい山登りに。比叡山延暦寺へと向かう修行僧のイメージで。


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ケーブル比叡駅に着く頃には登坂の一歩を踏み込むのが辛いぐらいの疲れ方に。

伏見稲荷を7:15に出発、ケーブル比叡駅に15:00到着だから、東山コース24.6kmを7時間45分かけて踏破。

分かっていたが、一番楽しいのは伏見稲荷から銀閣寺まで。比叡山を登るのはタフ過ぎる。


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続いて京都一周トレイル北山コースへ、体力の半分以上は使い果たしたが、まだ先は長い。


つつじヶ丘一帯の景色が素晴らしい、山登りの厳しさは消え、高所の丘ならではの優しい感じが出ている。


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北山コースは、ケーブル比叡駅から二ノ瀬駅の17.9kmだが、その手前の鞍馬駅をゴールに考えていた。

伏見稲荷から鞍馬寺駅でちょうど40km=10里になる。



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比叡山延暦寺・浄土院への階段、いよいよ聖域へ踏み入れる予感に、疲れた心身でもゾクゾクする。


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常行堂と法華堂をつなぐ橋をくぐる、なんだかそれだけで光栄な気分。


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風が冷たくなった気がして、身が引き締めた。夕方近くになったからではないはず。延暦寺の気配だろう。


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すでに体力は大半をすり切らしているが、足が痛いということはない。これなら大原でギブアップせず、鞍馬寺まで行ける。


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前回、京都一周トレイルを走った時は比叡山登りで体力と時間を使い果たし、ここからショートカットしまくって大原に出た。


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備えをしてきただけあって、今日は大丈夫。先にも後にもない記録を打ち立てることだけが身体を支えていた。


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玉体杉から京都御所方面を望む、随分遠いところまで来たものだ。


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ここからが最後のボスの登場だった、横高山への急坂は限界が近づいている身体へのトドメ。


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登り切ったと思ったら、すぐに水井山への急な登りが。標高794mのここが京都一周トレイルの最高地点。


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仰木峠からは下り道、時間をセーブしたくて走り始める。

 

鞍馬寺まで体力は持つが陽が落ちて暗くなるとマズい。時間との勝負になってきた。


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ボーイスカウト道を下ると、大原戸寺までの平地を走る。夕陽が眩しい。写真を撮る手数も少なくなってきて、先を急ぐ。


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戸寺バス停前、この信号が以前の京都一周トレイル2回ともゴールを迎えたので思い出深い、しかし今日はまだ先がある。


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高野川の緑が美しい、その先の杉林が相変わらず美しかった。もう何も考えず静原の里へ。


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今のペースなら真っ暗になる直前に鞍馬寺まで行けると踏んだ僕は、諦めずに静原を走る。水田と鯉のぼりにカメラを向けた。


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静原神社を素通りし、薬王坂を一歩一歩登り切る。鞍馬寺に着いたのが19:24。

 

薬王坂を下る道は暗闇直前、あと15分遅かったらアウト。


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結局、伏見稲荷から銀閣寺・比叡山延暦寺を経て、鞍馬寺まで40kmの京都一周トレイルランニング。

正直、そのうち4分の1も走っていないが、昔の人は1日10里(=40km)を普通に歩いたという伝説をようやく達成できた。

39歳で40kmをトレイルランニングできたという実績は、これからの僕の自信になるね。


京都一周トレイルで、もう思い残すこともないよ、それは目いっぱいの活動だった。

限界に近付き過ぎて、3日後まで筋肉痛と疲れが残ったのも初めての経験。

各地にトレイルランニングコースは数あるけど、京都一周トレイル以上のものに出会う自信がない。

 

 





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